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今月の健康特集

「未病」から始まる健康長寿

第2回 メタボリックシンドローム時代は「未病息災」

監修:国際医療福祉大学附属熱海病院内科教授
都島基夫先生

 血管の健康を考えるときに、必ずといって耳にすることに「メタボリックシンドローム」という言葉があります。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、2005年に日本内科学会から示された診断基準で、肥満に加えて高血圧や高血糖などの異常が重なると生活習慣病の引き金になる状態を示しています。

 症状が現れてから対処するのではなく、危険性が高まってきた段階で先回りして健康づくりに取り組むという点で、「未病」の考え方と一致するところがあります。病気ではない人を対象とした健康診断は、病気の芽を発見して、まだ芽のうちに摘み取るという措置は未病対策そのものであり、メタボリックシンドローム対策を進めていくうえでも重要なことといえます。
メタボリックシンドロームの該当者は全国で2000万人といわれています。メタボリックシンドロームでターゲットにしているのは、血管の健康です。

 血管は血液の通り道であり、赤血球は全身の細胞へ新鮮な酸素と栄養素を運び、細胞から老廃物を運び去る重要な働きをしています。血管が健康な状態であれば、脳も心臓も、そして全身の臓器も正常に働かせることができます。しかし、血管の老化が進んでしまうと、それぞれの働きが低下することにもなります。

 血管の若さが保たれていなければ、血管は傷つきやすく、回復もしにくく、血管の状態が悪くなれば生命の危機に直接結びつき、深刻な後遺症を残すことになる心疾患、脳血管疾患を引き起こすようにもなるのです。

 これまでは健康診断によって、検査数値の異常がみられたときに、医師による治療が求められていました。メタボリックシンドロームの診断基準をみると、それぞれの診断基準のギリギリの境にある数値となっています。

 中性脂肪値は149mg/dl以下が正常値とされていて、メタボリックシンドロームの選択項目の150mg/dlと、わずか1mg/dlのオーバーですが、これは高中性脂肪血症の中で一番下側の範囲である軽度高中性脂肪血症に踏み込んでいます。

 HDLコレステロールは40〜79mg/dlが正常値とされていて、診断基準の40mg/dl未満はほんのわずかな差となっています。
血圧は、収縮期(最大)血圧は130mmHg未満が正常値で、軽症高血圧と診断されるのは140mmHg以上です。この間の、いわゆる境界域もメタボリックシンドロームでは危険とみられています。拡張期(最低)血圧は85mmHg未満が正常値で、これ以上は正常高血圧とされます。

 空腹時高血糖は、110mg/dl未満が正常値で、これ以上は境界域糖尿病となります。

 ウエストサイズに加えて、これらのうち二つ以上が当てはまるときにはメタボリックシンドロームと診断されるわけです。

 多くの人に、「病気でない=健康」という意識があるためか、境界域に入っていることが指摘されても、これを機会に生活習慣を見直して正常域になるように努力しようと決意する人は、残念ながら多くはないようです。境界域は、まだ病気としての症状は現れていないものの、決して健康が保たれていると安心できる状態ではありません。まさに、未病としてとらえるべき段階であり、今から健康づくりに取り組めば、健康状態に戻ることができる人たちなのです。

 メタボリックシンドロームの診断基準として、第一に内臓脂肪の蓄積があげられているわけですが、内臓脂肪は、その名のとおり内臓の周りについている脂肪です。脂肪細胞からは血圧、血糖値、中性脂肪値を上げる生理活性物質のアディポサイトカインが作り出されています。そのため、内臓脂肪が多いことは高血圧症、糖尿病、高中性脂肪血症を発症させる原因になります。これらの要因は、すべて動脈硬化を促進させます。メタボリックシンドロームでは内臓脂肪が多いことを診断の第一条件としているのは、こういった理由があるからです。企業労働者12万人の調査では、軽症であっても肥満、高血圧、高血糖、高中性脂肪血症または高コレステロール血症の危険因子が一つでもある人は心疾患の発症リスクが5倍に、二つある人は十倍に、三〜四つある人は30倍にもなるといいます。

 メタボリックシンドロームの診断基準では、ウエスト周囲径のほかに血圧、血糖値、中性脂肪値のうち二つ以上が当てはまっていたら診断されますが、それぞれの数値が連動して上昇するという事実を考えれば、診断基準に一つでも当てはまっていたら、危険性が高いと考えて、それぞれの数値を正常域に下げるようにするべきだということです。

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