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今月の健康特集

「未病」から始まる健康長寿

第4回 メタボリックシンドロームと中性脂肪

監修:国際医療福祉大学附属熱海病院内科教授
都島基夫先生

 平成18年5月8日に厚生労働省(健康局生活習慣病対策室)から発表された「平成16年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、メタボリックシンドロームが強く疑われる者(有病者)は約940万人、その予備軍と考えられる者は約1020万人、併せて約1960万人となっていました。

 この調査では、診断基準のうち内臓脂肪蓄積があるうえに検査数値の2項目以上が当てはまった場合には有病者、2項目だった場合には予備軍としています。

 男性では20歳代は有病者5.1%(予備軍12.7%)、30歳代は7.4%(13.6%)であるのに対して、40歳代は16.5%(25.9%)、50歳代は22.1%(27.8%)と40歳代から急に増えています。40〜74歳では有病者が23.0%、予備軍が22.6%で、およそ2人に1人が有病者か予備軍という結果となりました。

 男性の肥満は20歳代は19.9%、30歳代は28.9%、40歳代は32.7%となっています。男性は20歳代、30歳代は肥満であってもメタボリックシンドロームの発症率は高くはなってはいないものの、40歳代をすぎると肥満者数とメタボリックシンドローム該当者が同じような変化を示しています。

 それに対して女性では、20歳代は有病者、予備軍とも見られず、30歳代は有病者が0.6%(予備軍2.3%)であるのに対して、40歳代は4.0%(8.6%)、50歳代は6.2%(7.6%)であり、40〜74歳では有病者が8.9%、予備軍が7.8%で、およそ5人に1人が有病者か予備軍という結果となりました。

 女性の肥満は、20歳代は5.4%、30歳代は8.3%と少なく、むしろ低体重(やせ)が20歳代は21.4%、30歳代は15.6%と低体重が目立っています。ところが、40歳代になると肥満は17.9%、50歳代では24.1%と増え、低体重は40歳代は6.6%、50歳代は5.4%となっています。

 メタボリックシンドロームと診断された人は、内臓脂肪の蓄積が前提となっています。脂肪は中性脂肪のかたまりであり、内臓脂肪蓄積型肥満は中性脂肪の蓄積によって腹腔内の脂肪細胞が肥大したものです。この中性脂肪を分解して肥大した脂肪細胞を元の脂肪細胞の大きさに戻すにはストレスホルモンであるノルアドレナリンが必要となります。即ち、内臓脂肪蓄積型の悪性肥満はストレス状態にあるといえます。

 食事でとった中性脂肪は十二指腸から出る胆汁によって乳化され、膵液の消化酵素によって脂肪酸とグリセロールによって分解されて小腸から吸収されます。吸収された脂肪酸とグリセロールは小腸で中性脂肪に戻り、コレステロールやリン脂質とともにカイロミクロンというリポ蛋白となります。

 小腸で作られたカイロミクロンは胸管という太いリンパ管を経由して血液中に放出され、これが毛細血管の細胞の近くにあるリポ蛋白リパーゼという中性脂肪を分解する酵素によって脂肪酸とグリセロールに分解されます。空腹時には分解された脂肪酸がエネルギーとして利用されます。食後にインスリンが分泌されるとブドウ糖がエネルギーとして使われるので、不要な脂肪酸はインスリンの作用により中性脂肪に再合成され脂肪細胞に蓄積されます。 中性脂肪のもうひとつの合成経路は肝臓です。食事から取ったブドウ糖や砂糖は、肝臓でグリセロールの合成素材となり、血液中の脂肪酸をくっつけた中性脂肪に合成されます。肝臓で合成に使われる脂肪酸は、内臓脂肪が分解されたものが多く含まれるので、内臓脂肪蓄積型の悪性肥満では過食も伴う人が多いため、高脂血症になりやすいのです。

 このように中性脂肪は、摂りすぎて余った糖質を材料にして、肝臓で多く作られています。また、アルコールの摂取によっても肝臓での中性脂肪の合成が促進されます。

 こうして肝臓の中で合成された中性脂肪は、血液中に放出されますが、合成される量が増えると血液中の中性脂肪が増え、そして脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪も増えていきます。このとき放出されなかった中性脂肪は肝臓にたまって脂肪肝になります。

 成長期には脂肪細胞の中に蓄積する中性脂肪の量が増えると、脂肪細胞は数を増やして、より多く蓄積できるように対応していきますが、20歳を過ぎると脂肪細胞の数は増えにくくなります。女性の場合には妊娠中に脂肪細胞の数が増えることはありますが、それ以降に増えることはほとんどありません。

 脂肪細胞の数が変わらないのに太ったということは、脂肪細胞の中に蓄積する中性脂肪が増えて、脂肪細胞が大きく膨らんだ状態になっているということです。この状態を元の状態に戻そうとする働きによって、脂肪細胞から遊離脂肪酸が多く放出されるようになります。このことによって中性脂肪値が大きく上がる原因になります。そのために、動脈硬化の危険性も高まっていきます。

 膨らんだ脂肪細胞が元に戻ろうとするときには脂肪細胞にあるリパーゼが活発に作用しますが、そのためにストレスホルモンが多く分泌されるようになり、その結果として血圧が上昇し、インスリンの作用が低下するために血糖値も上昇しやすくなります。

 中性脂肪値が高いということは、このように関連して、メタボリックシンドロームの危険性を高めていくことになるのです。

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