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講演会・セミナーの開催

各支部では、地方自治体・企業およぴ諸団体と協力して、各種講演会・セミナーを実施し、健康づくりの推進につとめています。
健康増進に伴う知識の普及啓蒙事業の一環として、健康に関連する各地域の自治体、団体等の協力、後援を得て一般国民や自治体、企業等の健康管理者を対象に「健康日本21」の推進と健康管理のあり方等についての講演会・セミナーを実施しています。

平成24年度「健康セミナー」ダイジェスト
「放射線リスクと向き合うために」「メンタルヘルス対策の方向性とその取組み」
特別講演
最初のプログラムは特別講演。国際医療福祉大学大学院院長である金澤一郎氏が「放射線リスクと向き合うために」と題して、「放射線についての一般知識」と「福島第一原発事故に関すること」について解説しました。

放射線の基礎知識については、放射線、放射能、放射性物質などの用語をわかりやすく説明し、自然界の放射線量(宇宙線、空気中のラドン天然放射性核種など)が意外に高いことを紹介。いたずらに放射線を恐れないよう、注意を促しました。

被曝の発がんへの影響については、確定的影響と確率的影響があることを解説。確定的影響とは、ほぼ同等の被曝を受けた人類集団の1%以上の人に、下痢、下血、白血球減少、脱毛などのような特有な症状が出る最低線量を「しきい値」と呼び、それを「確定的影響」と呼んでいます。いちどきに1000mSv(ミリシーベルト)以上の放射線を受けた場合、つまり急性被曝における人体への影響がこれに当たります(広島、長崎の原爆・1945年、南ウラルのテチャ川の被曝事故・1950〜1960年など)。

確率的影響については、慢性的な被曝の結果、積算被曝量が1000mSv当たり、発がん率(正確には「がん罹患やがんによる死亡率のリスク」のこと)が5%程度増加することがわかっていて、これが確率的影響です。このデータからの類推で、易学的データがほとんどない100mSv以下の被曝でも、発がん率が上昇することが考えられています(原爆やチェルノブイリ原発事故後に生じた慢性の低線量被曝、医療のために行われる反復性被曝など)。

将来のがんリスクなど、どこまで心配するべきかという問題に言及し、メディアの放射能についての報道の仕方にも触れて、冷静な報道の必要性を論じました。

最後のまとめとして、科学者は過去の事例を正確に分析し、評価科学に基づくリスク評価を冷静に行い、その成果をわかりやすく公表する義務があり、さらに事故に際して、適切なモニタリングを行い、信憑性の高いデータを得ることが求められるとしました。

行政は、リスク管理の立場から、科学者が得たデータを基にして、規制値の制定や避難の必要の有無など、国としての方針を責任を持って決定し、実行すること。ただし、この決定についてメディアを通じて国民へ公表する際には、最適化の概念を基本として守りつつも、国民の不安が増大しないように適切な判断により措置を講じるべきであるとしました。 「放射線は正しく理解し、冷静に恐れるべきもの」と強調しました。

基調講演
午後からの基調講演では、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課課長の椎葉茂樹氏が「これからの職場のメンタルヘルス対策労働安全衛生法の改正案」と題して、職業生活におけるストレスなどの内容、自殺の原因など職場におけるメンタルヘルス対策の現状について述べました。

わが国における自殺者は1998年以降、年間3万人を越えており、自殺予防は精神保健の最重要課題になっています。2010年9月の政府の新成長戦略では2020年までの目標として「メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合100%」が掲げられています。しかし、メンタルヘルス対策については、健康診断などへの導入の方法、ストレスに関する症状や不調があった場合、その後のケアや支援方法、労働者のみならず一般生活者や高齢者のプライバシー保護の問題など課題もたくさん見受けられます。

労働衛生の3管理、「作業管理」「作業衛生管理」「健康管理」のもと、ストレスフリーな安全衛生管理体制のもと、「労働行政は国がやる」という姿勢が必要であることを説明しました。

ショートレクチャー
引き続き、医事評論家の行天良雄氏のコーディネートのもと、ショートレクチャーが行われました。社団法人日本医師会常任理事の今村聡氏から、メンタルヘルス対策について「日本医師会における取組み 産業医・かかりつけ医と精神科医との連携うつ・自殺対策を中心に」というテーマでレクチャーがありました。そして、大阪ガス株式会社の岡田邦夫氏からは大阪ガスグループにおけるメンタルヘルス対策への取組みについて報告があり、東邦大学講師の精神科医・井原一成氏から「高齢者における介護予防のうつ予防・支援」についての発表、日本マイクロソフト株式会社の西川昌邦氏からは「組織生産性向上施策とメンタルヘルス対策」という話がありました。

その後、パネルディスカッションに移り、「メンタルヘルスは企業の問題だけではない。それぞれの立場での産業保健への取り組みが不可欠」と、現状把握がなされたあと、フロアとの質疑応答の時間が設けられ、活発な意見交換の場となりました。

現在、わたしたち日本人にとってもっとも問題となっている原発事故による放射能汚染、そして自殺者急増の原因となるメンタルヘルスについて、パネリスト、そして参加者、それぞれの立場で考える機会となりました。

最後に、日本健康倶楽部の山本茂理事長が挨拶に立ち、健康セミナーは盛会の内に幕を閉じました。