肝機能低下の原因はアルコール、過食、ウイルスの3つがあります。ここではアルコール性肝障害と過栄養性脂肪肝について、生活改善のヒントをご紹介します。
◎ウイルス性肝炎が疑われる方は、できるだけ早く医療機関で精密検査を受けることをおすすめします。
(管理栄養士)山本 辰芳先生
1.あなたの積算飲酒量は?
アルコール性肝障害
アルコール性肝障害の危険度は、それまでに飲んだアルコールの送料に比例します。目安としては、毎日、日本酒にして3合以上のアルコールを5年以上飲んでいる「常習飲酒家」は脂肪肝、肝線維症を発症するケースが多く、毎日、日本酒にして5合以上のアルコールを10年以上飲んでいる「大酒家」は肝硬変の危険が高いといわれています。また1日に飲む量が少なくても、長年飲み続けていれば安心はできません。これまでに飲んだ総アルコール量(積算飲酒量)が 500kgを超えると、肝硬変の危険が高まります。
2.節度ある適度な飲酒を
肝機能に不安のある人は、禁酒するか、適度な飲酒を心がける必要があります。1日に次の量が適度な飲酒とされています。この量ではもの足りなく感じる人も、日本酒にして2合を上限とし、その分は休肝日をつくって1日あたり1合になるようにします。
3.おかずの品数を多く
おかずの品数を、主菜1品、副菜1〜2品とします。 肉・魚などの主菜は、たんぱく質を多く含み、肝臓の再生を助けます。ただし肉や魚には脂質も含まれるため、とりすぎればエネルギー過剰になりますので、主菜は1品にとどめます。野菜、キノコ、海藻類の副菜は、低カロリーでビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富です。これらはたっぷりとりたいので、増やすなら副菜を1品増やすようにします。
【節度ある適度な飲酒の目安量(純アルコール20g程度)】
※厚生労働省が推進する「健康日本21」より
日本酒 | 1合(180ml) | ビール | 中びん1本(500ml) |
ウイスキー・ ブランデー |
ダブル1杯(60ml) | ワイン | グラス1杯半(200ml) |
焼酎(35度) | 1/3杯(70ml) |
4.アルコールをごはんの代わりにしない
「アルコールでエネルギーをとっているからごはんは食べない」という人がいますが、アルコールはごはんの代わりにはなりません。アルコール飲料にはエネルギーのみで栄養素がほとんど含まれていませんが、ごはんには炭水化物のほか、ビタミンB1、食物繊維などが含まれています。アルコールを適量にし、ごはんも軽く茶碗に1杯程度は食べるようにしましょう。
5.エネルギー過多を避ける
過栄養性脂肪肝
過栄養性脂肪肝の原因は、食べ過ぎと運動不足です。脂質だけでなく糖質やアルコールなども、とりすぎれば余った分は中性脂肪に作り変えられ、肝臓や皮下脂肪にたくわえられます。食事からの摂取エネルギーを適正にするには、エネルギーオーバーとなっている食習慣を改める必要があります。